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1 Fortran とは
1.1 Fortran 言語について
- Fortran は1950年代に誕生した、世界初の高級プログラミング言語です。
- Fortran は "FORmula TRANslation" の略です。
- 数値計算プログラム作成に適しています。
Fortran がなぜ数値計算プログラム作成に特に適しているかを以下に述べます。
- Fortran はその名の通りもともと数値計算用プログラミング言語として設計されています。 そのため、各種組込み関数や複素数、そして強力な配列操作など、数値計算に便利な機能があらかじめ組み込まれています。
- 他の高級言語(C/C++, Java など)と比較して、数値計算プログラムを簡潔に記述することができます。
- 他の高級言語(C 言語など)と比較しても、一般的にパフォーマンスに優れています。
- Fortran はその言語仕様上、コンパイラにとって最適化しやすい言語です。(→ パフォーマンス面で有利です)
- 優れた数値計算ライブラリ(nAG ライブラリ、LAPACK など)が豊富に利用可能です。
- 移植性に優れているため、作成したプログラムを変更することなく(あるいは最小限の変更で)PC からスパコンまで様々な環境で利用可能です。
- (正しく記述した場合)プログラミングにおいての誤りをおかしにくい言語です。
1.2 Fortran の歴史 ~ 現在
- 誕生
- 1950年代 IBM(FORmula TRANslation)
- Fortran 66
- 世界で初めてのプログラミング言語標準
- Fortran 77
- 固定形式、その後広く使われる
- Fortran 90 - メジャーバージョンアップ
- 自由形式、モジュールなど構造化言語へ
- Fortran 95 - マイナーバージョンアップ
- Fortran 90 の不具合修正、FORALL, PURE, ELEMENTAL 手続など
- Fortran 2003 - メジャーバージョンアップ
- オブジェクト指向、C 相互利用など
- Fortran 2008 - モデレートバージョンアップ
- 共配列のサポート、BLOCK 構文、数学関数の増強など
- Fortran 2018 - モデレートバージョンアップ
- IEEE 算術への準拠、共配列の強化、C 相互利用の強化など
Fortran は(細かい例外を除いては)上位互換を保って進化しています。 ですので Fortran 77 の規格に沿って書かれたプログラムはそのまま Fortran 90/95 のプログラムとしてコンパイル可能です。
しかしながら Fortran 77 の規格には今では安全でないとされる機能や、過去の計算機環境を想定した機能が含まれます。
本資料では安全にプログラムを各ための最低限の知識を Fortran 77/90/95 の機能より説明しています。
また Fortran 77 に含まれる安全ではないとされる機能等の過去の機能は「過去の Fortran の知識」としてまとめて別途説明をしています。
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