1.1 Fortran 2003新機能概要
1.1.1 オブジェクト指向プログラミング機能
オブジェクト指向機能には型拡張、多相変数、型選択があります。 これらは継承と型に関する安全性を保った形での多相性プログラム機能を実現します。
より高度な機能としては型割付け、クローン作成、型結合手続き、型結合総称、オブジェクト結合手続きがあります。 型結合手続きにより動的呼出しの方法が提供されます。
1.1.2 割付け属性の拡張
割付け(ALLOCATABLE)属性が、仮引数、関数結果、構造体成分、そして(配列のみではなく)スカラでも利用できるように拡張されています 。
また割付けを1つの変数から別の変数へ移動するための組込み手続きが新たに追加されています。
更に組込み代入で、割付け変数/成分が形状/型パラメタ値の式と異なる場合に自動的に正しいサイズで再割付けされるようになっています。 そしてこの機能と無指定文字長との組み合わせで真の可変長文字変数が扱えるようになっています。
1.1.3 データ操作に関する機能強化
データ操作に関しては2つの大きな機能強化があります。 一つは構造型への型パラメタ追加で、もう一つは最終サブルーチンによる最終化(finalization)です。
その他のデータ操作に関する機能強化には、PROTECTED属性、ポインタ結合指示と次元再割当、手続きポインタ、 構造体成分に対する個別の参照許可設定があります。
1.1.4 C言語との相互運用性
Fortran 2003ではC言語との相互運用性の機能が追加されています。 C言語との相互運用性にはFortranからのC手続きの呼び出し、 CからのFortran手続きの呼び出し、CとFortran言語間のグローバル変数共有が含まれます。 またCと共有できるFortran要素を宣言するためのBIND(C)構文とCスタイルの列挙が追加されています。
1.1.5 IEEE算術のサポート
Fortran 2003ではIEEE算術サポートが提供されます。 特定のFortran機能に対してのIEEE準拠要求、IEEEモード及び例外処理へのアクセス、IEEE適合度の調査などの 機能が提供されます。
1.1.6 入出力の機能強化
入出力には3つの大きな機能(非同期入出力、 ストリーム入出力、構造型入出力のためのユーザ定義手続き(ユーザ定義入出力と呼びます))が追加されています。 また入出力指定子の統一化が行われましたれ、 OPEN文で利用できる指定子はすべて(意味のある場合)READ文もしくはWRITE文でも使えるようになりました。
1.1.7 その他の機能強化
その他に多方面にわたる多数の機能改良が施されました。
その中で主なものに、引用仕様宣言への親子結合機能(IMPORT文)、
VALUE属性とVOLATILE属性指定、定数式へのすべての組込み関数の指定、
配列構成子と構造体構成子に対する構文拡張等があります。
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