数値解の品質トップへ
まとめ
これまで数値計算の細部、及び数値計算アルゴリズムを信頼の置けるロバストなソフトウェアとする上で考慮しなくてはならない詳細について、具体例を用いて説明してきた。同時にまた、数値解の品質を判断する上で理解しなくてはならない概念、特に条件、安定性、誤差解析(後退誤差と前進誤差の違いを含む)について解説を試みた。
算出された解の品質と信頼の置ける高品質ソフトウェアの使用について気を配る必要があることを強調しておきたい。ソフトウェアパッケージによってもたらされる結果は正しいものだと安易に仮定することはできないのである。
しかしこれは常に容易にできるとは限らない。科学者たちは自分自身の学問に集中することを欲すると共に、アルゴリズムが自分たちの問題を解く上で安定した手法かどうかを判断すべく分析することが実際問題としては不可能な場合もあるからである。それ故、解の品質に関する適切な尺度を提供するソフトウェアの必要性が望まれる。
ここでは次の引用をもってしめくくりたい。
"あなた方はこれらいまいましい問題を私が提示できる以上にうまく解いてしまった。" Sir Edward Bullard, Director NPL、1950年代半ばにおけるWilkinsonに向けた論評。Wilkinson [1985, p. 11] 参照。 |
ソフトウェア開発者は少なくともデータが値すると同等の優れた解法を提供すべく努力すべきである。