nAGお客様事例

業種	大学
ソリューション	通信システムの解析的モデリングと性能評価
使用された製品	nAG C ライブラリ
使用された関数	f02ab（固有値と固有ベクトル）、 f07ad（LU分解）、 f04ad（前進消去後退代入法）

ミドルセックス大学モデリンググループは通信システムの解析的モデリング、性能、有効性、実行可能性評価にnAGライブラリを使用

概要

通信システムの解析的モデリングと性能評価はミドルセックス大学のエンジニアリング & インフォメーションサイエンススクール（The School of Engineering and Information Sciences）のよく知られた研究テーマです。コンピュータ通信部門では、多くの学者や研究者が様々な通信システムの最適化の研究に従事しています。研究領域には再構成遅延と再起動遅延を有する均一のマルチサーバの解析的モデリング [1]、ファームパラダイムマルチサーバシステムの研究（例えば Beowulf クラスタ）[2]、オープンネットワークの高速の実行可能性評価モデル[3]、そして様々な新しい多次元モデルの解決法[4] が含まれています。理論的研究のほかに、ミドルセックス大学で開発されてきたネットワークメモリサーバのようなシステム[5, 6]、無線通信システム、水平垂直ハンドオフスキーマ[7, 8] 、無線トラフィックモデルの研究[9]が実行可能性評価と有用性評価とプロトコルの最適化のために検討されてきました。

ニューメリカルアルゴリズムズグループライブラリ

nAG ライブラリは様々なマルチサーバや上記で述べたようなマルチチャネルシステムの解析的モデリングの研究で効果的に使用されています。それは多次元モデリング法やこれらのモデルの定常状態を解くのに使用される手法に対して用いられています。得られたモデルは計算クラスタ、ネットワークメモリサーバ、無線通信システムや不均一システムの積分[1-9]といったマルチサーバシステムの性能、有効性、実行可能性の評価に使用されています。　 nAG ルーチンf02ab は実対称行列の実固有値と固有ベクトルを見つけるために使用されています。行列は最初にハウスホルダー法を用いて実三重対角行列に縮小され、QLアルゴリズムを用いて固有値と固有ベクトルが計算されます。固有値と固有ベクトルが計算されると、結果として生じる連立方程式を処理するnAGルーチンを使用することができます。従って、f07adは入力行列A=PLU のLU分解に使用されます。ここで P は順列行列で、L は一組の対角要素をもつ下三角行列で、U は上三角行列です。固有ベクトルは複素共益として生ずる可能性もあるので、f04ad は前進消去後退代入法を用いて複素線形方程式 AX=B を解くのに使用されます。

無線通信システムのための解析的モデリング

次世代無線通信システムの主な機能は、様々な無線アクセステクノロジー(RATs)へのユビキタスアクセスとシームレスアクセス及び標準を確立する能力です。このため、様々な無線テクノロジーの統合やこれらのテクノロジーの相互作用の性能評価が重要な研究テーマです。様々なテクノロジー間[7-9]のいわゆるハンドオフスキーマ（図１参照）にかなりの注意が払われてきました。

ミドルセックス大学のモデリンググループはハンドオフスキーマの性能、有用性、実行可能性の評価を調べています。問題が多くの確率状態変数をもちかなり複雑なため、多次元モデルが使用され、分析システムの定常解を決定するためnAGライブラリのルーチンが使用されています。

nAGライブラリが提供する正確で有効な計算

使用された分析手法は、ミドルセックス大学で開発されたシミュレーションプログラムを用いて検証されています。検証プロセスは明らかに分析法に基づく計算の有効性と正確性を示しています。得られた結果のいくつかが図２で説明されています[4]。シミュレーションが６時間以上かかるのに対して、反復計算は200秒かかります。新しい手法の正確性を検討する際に、相違が5% 以内であることがわかります。それはシミュレーションの信頼区間[4]です。これらの結果はnAG ルーチンが望ましい水準の正確性と計算の効率性を提供していることを示しています。

結論

ミドルセックス大学のコンピュータ通信部門のモデリンググループは分析モデリングと様々な最適化の研究の検証にnAGライブラリを使用しています。グループの Enver Ever 博士は次のようにコメントしています。「nAGライブラリは信頼性があり、十分にドキュメント化されています。私は５年以上nAGライブラリを使用していますが、提供されているドキュメントはすばらしく、ルーチンの理解や効果的に使用するのに役立っています。ルーチンは詳細に説明されており、簡単に実行できます。私たちはライブラリの品質に満足しており、今後も nAG を使用する予定です。」

参考文献

1.	Gemikonakli, O., Van Do, T., Chakka, R., and Ever, E. (2005), "Numerical Solution to the Performability of a Multiprocessor System with Reconfiguration and Rebooting Delays", European Simulation and Modelling Multi conference, June 2005, pp. 766-770.
2.	Ever, E., Gemikonakli, O. and Chakka, R. (2009),“Analytical Modelling and Simulation of Small Scale, Typical and Highly Available Beowulf Clusters with Breakdowns and Repairs”. Journal of Simulation Modelling Practice and Theory (Journal of the Federation of European Simulation Societies - EUROSIM Former title: Simulation Practice and Theory). Volume 17, Issue 2. pp: 327-347.
3.	Chakka, R., Ever, E., Gemikonakli, O., (2007) "Joint-State Modelling for Open Queuing Networks with Breakdowns, Repairs and Finite Buffers", In IEEE Proceedings of MASCOTs 07, Bogazici University Istanbul. 24-26 October.
4.	Gemikonakli O., Ever, E.,and Kocyigit, A. (2009), “Approximate Solution for Two Stage Open Networks with Markovmodulated Queues Minimizing the State Space Explosion Problem”. Journal of Computational and Applied Mathematics. Volume 223,Issue 1,ISSN: 0377-0427. pp519-533.
5.	Gemikonakli, O., Mapp, G., Ever, E. and Thakker, D. (2007) "Modelling Network Memory Servers with Parallel Processors, Break-downs and Repairs", In IEEE Proceedings of 40thAnnual Simulation Symposium, (ANSS'07).pp:11-20.
6.	Gemikonakli, O., Mapp, G., Thakker, D., Ever, E., (2006) "Modelling and Performability Analysis of Network Memory Servers", In IEEE Proceedings of 39th Annual Symposium on Network Simulation, Huntsville, U.S.A, pp.127-134
7.	Y. Kirsal, E. Gemikonakli, E. Ever, G. Mapp, and O. Gemikonakli (2010) "An Analytical Approach for Performance Analysis of Handoffs in the Next Generation Integrated Cellular Networks and WLANs", In IEEE Proceedings of, 4th IEEE workshop on performance modeling and evaluation in computer and telecommunication networks (IEEE PMECT 2010 at IEEE ICCCN 2010). Zurich, 2-5 August.
8.	Ever. E., Y. Kirsal, O. Gemikonakli (2009), "Performability Modelling of Handoff in Wireless Cellular Networks and the Exact Solution of System Models with Service Rates Dependent on Numbers of Originating and Handoff Calls", In IEEE Proceedings of CSSim2009: International Conference on Modelling and Simulation, Czech Republic, 7-9 September.
9.	E. Gemikonakli, O. Gemikonakli, E. Ever and G. Mapp "Impacts of Buffering of Voice Calls in Integrated Voice and Data Services" In proceedings of UKSim 2011: 13th International Conference on Computer Modelling and Simulation, 2011, Cambridge University.