Leonardo S.p.A (旧 Finmeccanica)は、航空宇宙、防衛、セキュリティを専門とするイタリアの多国籍企業です。ローマを中心として、世界 180 箇所に拠点があります。同社は、ヘリコプター、航空機、航空製品、電子機器、セキュリティと情報システムの各部門で構成されています。
ヘリコプター部門は、子会社である Agusta Westland が中心となって、商用、公共サービス、セキュリティ・防衛市場向けに、最新のヘリコプターの研究、設計、開発、製造、カスタマーサポート、パイロットトレーニング、マーケティングを行っています。
ヘリコプター部門 は、製品の機能と性能を絶えず向上し、最新技術を取り入れ、研究開発を通じて、現代的かつ技術的に進歩したヘリコプターを生み出す努力をしています。このため、Leonardo は高度なコンピューター・ソフトウェアに常に投資しています。一部の業務では、数値流体力学や有限差分法の分野において、プロプライエタリ・ソフトウェアを使用していますが、ヘリコプターの設計、解析、モデリングは求める要件が特殊なため、独自の数値計算コードの開発が必要となります。コードの大部分は、Unix スクリプトと共に、Fortran で書かれています。 現在、エンジニアと IT スペシャリスト(および、複数のコントリビューター)によって作成された、300 万行規模のコードで構成される、数百のプログラムがあります。
ソフトウェアは複雑で、時に大きく進歩します。車輪の再発明を避けるために、プログラム開発者は自分が必要とする機能を提供しているライブラリを利用します。ヘリコプター部門のコードは、以下のタスクで nAG ライブラリルーチンを利用しています。
- 行列の演算
プログラム全体を通して利用されます。x, y, z 軸とその周りで働く、力とモーメントに関する計算が多くのタスクで行われており、行列の演算は不可欠です。これらは、積や逆行列などの単純な演算であることが多いのですが、以下のような特定のタスクも要求されます。- 連立一次方程式の解
- 固有値と固有ベクトルの計算(特に、エンベロープを決定するとき)
- 多項式と連続関数の零点(より大きなアルゴリズムのサブタスクとして)
- 単純な常微分方程式と偏微分方程式の解
- 離散信号へのフーリエ変換または逆変換の適用(解析の前に時間領域と周波数領域の間で信号を変換するのが一般的です)
- 補間
- 線形回帰
- 曲線および曲面のあてはめ
- 曲線および曲面の平滑化
- ベクトルまたは行列の行または列の並べ替えまたはランク付け
ヘリコプター部門の社内チームによって開発されたコードの多くは、ヘリコプターの挙動を解析するために書かれており、アルゴリズムとコードの設計には専門知識が必要となります。
nAG ライブラリは幅広い分野のルーチンを提供しており、次に記述されるヘリコプター(航空機)の設計と解析のプロセスのすべての局面において、nAG ライブラリルーチンが利用されています。
ヘリコプター部門のコードが取り組んでいるタスクのいくつかは以下のとおりです。
- ヘリコプターの機体の設計
- 空気負荷とモーメントの予測と解析
- Westland で設計・製造された革新的な BERP ブレードを含む、ヘリコプターのローターとローターブレードの設計
- 空力性能の予測と解析
- 各ローターブレードと空気および他のブレードの後流との相互作用によって生じる地上で聞こえる空力音響(騒音)の予測と解析
- 機体の振動によって発生する航空機内で聞こえる振動騒音の予測と解析
- 航空機全体の応力の予測と解析
- 航空機が負担できるエンベロープまたは限界の予測と解析
- 電気ユニットの効果と干渉の調査
- プロプライエタリ・ソフトウェアで使用する入力データの準備
- プロプライエタリ・ソフトウェアで生成された結果の解析
BERP blade on AW101
以下が同社が製造したヘリコプターです。
- AW101 は、最先端の技術、設計による安全性、ミッションシステム、そして最先端の製造を組み合わせ、戦闘捜索救助、軍隊輸送、揚陸、対潜水艦および対水上艦艇、首脳および VVIP のための実証済みの多用途プラットフォームを提供します。
- AW119 は幅広いミッションに対応する広くパワフルな小型単発ヘリコプターです。
- AW139 は様々な困難なミッション対して世界中で採用されている新世代の中型双発ヘリコプターです。軍事バージョンもあります。
- AW149 は多目的な戦場支援のために設計された最新の中型双発ヘリコプターです。
- AW159 は最新多機能の軍用ヘリコプターです。荒れた海と甲板の厳しい海上環境を想定して設計されています。その高度なアビオニクス、戦術的プロセッサ、強力なセンサーにより、乗組員は優れた戦術的認識を持つことができ、海上でも陸上でもターゲットをすばやく見つけて識別することができます。AW159 は 15 の国で運用・実績のある Lynx を進化させたものです。Yeovil で設計および製造された双発 AW159/Lynx は、主に対潜水艦および対水上艦艇の役割、ならびに捜索救助、戦場での汎用的な利用および対装甲を提供します。Lynx はヘリコプターの対気速度の世界記録を保持しています。
- AW169 は最新の 4.6 トン双発タービンヘリコプターです。最も要求の厳しい運行条件においてもクラス最高の性能を発揮します。軍事バージョンもあります。
- AW189 は最新の高性能 8.3 トン双発ヘリコプターです。多目的なプラットフォームを手頃な価格で提供します。
- GrandNew は全天候用に最新の全地球航法衛星システムを搭載したプレミアムな小型双発ヘリコプターです。
- NH90 は NATO スタッフの要請から発展したヨーロッパの共同計画で生まれた多目的の軍用ヘリコプターです。
- SW-4 は実用と訓練の昼夜を問わない運行のために設計された多目的の小型単発ヘリコプターです。
- AW609 TiltRotor はヘリコプターと固定翼機の利点を組み合わせたハイブリッド航空機です。新しいレベルの性能、安全性、信頼性を手頃な価格で提供します。垂直に離着陸が可能で、通常のヘリコプターの 2 倍の巡航速度と航続距離を持ち、キャビン内が与圧されているため悪天候の上空(高高度)を飛行することができます。
Korea Navy AW159 in anti-submarine role
AW609 in forward flight and hover modes